てんかん・けいれん
てんかん・けいれん
けいれん(痙攣)は、全身、または一部の筋肉が自分の意思とは関係なく収縮しふるえてしまう症状です。
けいれん=てんかん ではありません。
まずは、緊急を要する病気(脳卒中・脳炎など脳病気、薬物中毒、血糖や電解質の異常、心臓の病気など)を除外する必要があります。
まずは頭部精査や採血検査を行い、けいれんの原因となる病気が隠れていないか、確認が必要です。
てんかんは、脳の神経細胞の活動が突然乱れ、過剰に興奮することによって生じる発作です。
100人に1人がもつありふれた病気で、赤ちゃんから高齢者まで、どの年齢でも発症し、だれでもなり得る病気です。発症率は3歳以下が最も高く、成人になると減りますが、60歳を超えた高齢者になると脳血管障害などを原因とする発病が増加します。
てんかんは「全般てんかん」と「焦点てんかん」に大きく分けられます。さらに、発作を起こす原因について、前述の通り脳に病変がない「特発性」と脳に病変のある「症候性」に分けられます。
全般てんかんは、両側の脳から同時に始まる発作(全般発作)を起こします。
皆様が思い浮かべるような、突然倒れ、全身が突っ張ったり(強直発作)、がくがく震えたり(間代発作)する発作です。
焦点てんかんは、脳の片側の一部から発作が始まります(部分発作)。
部分発作は意識を保つ「単純部分発作」と意識障害を伴う「複雑部分発作」があります。
本人は意識があるため、発作をすべて覚えています。
手足や顔の突っ張りやけいれんなどで、手足の痺れ、視野の異常、気分不良や胃部不快感を感じることもあります。
脳の発作の始まる部位により、言葉が出づらい・理解できないなどの失語症状が出現することもあります。また、麻痺があるにも関わらず脳梗塞や脳出血が見つからない場合は、てんかんによる症状の可能性もあります。
一点を見つめるような症状が多く、動きが止まります。手をモゾモゾしたり、口をモグモグさせたりすることも多い症状です。発作後、もうろうとしたり、言葉をうまく話せない状態が続くこともあります。意識を失うため自分では気が付きにくいのが特徴です。
抗てんかん薬を毎日規則的に服用し、発作を抑制していく薬物療法が主流です。
抗てんかん薬は、脳の神経細胞の電気的な興奮をおさえたり、興奮が他の神経細胞に伝搬しないようにすることで発作を抑える薬です。
薬物治療にあたっては、①毎日規則正しく服用する、②生活リズムを整えて暴飲暴食・睡眠不足を避ける、③勝手に服薬を中断しない、ことが大切です。
1種類の薬で発作を抑制する単薬療法が好ましい形ですが、1種類のみでは発作が抑制されないときには、2種類以上の薬をもちいる多薬療法をおこないます。
当院にはてんかん専門医による診察もありますので、ご相談ください(月1回土曜日)。
ボツリヌス毒素という筋肉の緊張をやわらげる薬を緊張している筋肉に直接注射し、けいれんや収縮の原因となっている神経の働きを抑え、筋肉の緊張を緩めるという治療です。
当院では眼瞼(がんけん)けいれん、顔面けいれん、痙性斜頸(けいせいしゃけい)、上肢/下肢痙縮(けいしゅく)に対して行います。
※ボトックス®とはA型ボツリヌス毒素製剤のことで商品名です。
両側のまぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)が自分の意思とは関係なく持続的に収縮し、止まってはまた繰り返す状態のことを言います。
「まばたきの制御異常」「開閉まぶたの切り替え故障」と捉えるとわかりやすいです。
多くの場合は原因不明ですが、大脳基底核にある運動抑制システムの機能障害と考えられています(本態性眼瞼(がんけん)けいれん)
その他パーキンソン病などに見られる症候性眼瞼(がんけん)けいれん、安定剤や睡眠導入薬などの薬剤が原因・誘因となる薬物性眼瞼(がんけん)けいれんがあります。
下まぶたのピクピク感から始まり、上まぶたに進行します。まばたきをしたり目を閉じたりすることが制御できなくなってしまいます。
まぶたの運動障害、まぶしい、目の周辺が不快・痛い、目が乾く感じなど感覚過敏も見られます。
最重症例ではまぶたが開かなくなる「機能的な失明状態」になることもあります。
40~50歳以上に多く、男女比では女性に多くみられます。(男性の2.5倍かかりやすい)多くの場合は原因不明です。
片側の顔の筋肉が意識的にではなく勝手に収縮(縮む)したり弛緩(緩む)したりしてピクピク動く状態です。
顔の筋肉には「目を閉じるための筋肉」「笑うときに使う筋肉」「口を開けたり閉じたりするときに使う筋肉」があります。
顔面神経が動脈に触れて圧迫・刺激を受けることで起こることが多いと言われています。この動脈は左右対称にあり、両方とも刺激されることは稀なので多くは片側に起こります。
目の周りの筋肉が最初に動くことが多いです。その後、口角部のけいれんを中心とした顔面の筋肉のけいれんが片側に同期するように起こります。
中年の特に女性に多いとされています。
目を強く閉じて開けたり、口を引き延ばすような顔をしたり、緊張したりするとけいれんが誘発されます。
首や肩の筋肉が意思とは関係なく収縮して、首が曲がったり、傾いたりして元の位置に戻らない状態のことです。無理やり元に戻そうとすると痛みや違和感を感じます。
原因は不明とされていますが脳疾患の合併症・後遺症としてのもの(症候性)や向精神薬などの薬物使用により(薬物性)により生じるものもあります。
症状は患者さん毎に異なります。頭が横・前・後ろに倒れる、下顎が突き出る、頭が横を向く、背中が曲がる、肩が上がる、頭がかなり大きく振れるなどの症状が見られます。これらが様々な組み合わせで現れることがあります。
好発年齢は30-50代で女性よりも男性に多いです。
筋肉が緊張しすぎて、つっぱったり、こわばったりして手足が動かしにくくなる状態のことをいいます。
脳卒中の発症後、時間の経過とともに麻痺と一緒に見られることが多いです。脳卒中以外にも頭部外傷、脊髄損傷、脳性麻痺、多発性硬化症などの後遺症に由来するものもあります。
手指が曲がったままとなり開きにくい、手首や肘が曲がる、足先が足の裏側の方に曲がってしまうなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
長期間そのままにしておくと、筋肉が固まってさらに関節の運動が制限される「拘縮(こうしゅく)」につながることもあります。
当院では内服療法またはボツリヌス療法を行います。
ボツリヌス療法は各症状に対して以下の作用・効果があります。効果はいずれも個人差がありますが1回の施注で3~4ヶ月持続します。
ボトックス®を注射するとまぶたを閉じようとする筋肉の力が弱くなるので、目を開けやすくなります。
勝手に動く筋肉に対しボトックス®を注射し緊張を改善させ症状の緩和を図ります。
ボトックス®を注射し筋の攣縮(れんしゅく)、緊張を改善することで頭の偏りや痛みを改善させます。
ボトックス®は筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があるので筋肉の緊張をやわらげることができます。
※実際の施注時はマスクを外して行います。
問診→検査(MRIなど)→診断→治療(患者様の状態によって医師が最適な治療方法を提案します)
※ボトックス®は事前登録が義務付けられている治療のため、薬を取り寄せるまでの時間が必要となります。
そのため、初診時にボトックス®治療を受けることはできません。
※ボツリヌス療法は保険治療となります。