耳鳴り
耳鳴り
耳鳴りとは「周囲の音と無関係に耳あるいは頭の中で音が聞こえる状態」をいいます。音の情報を受け取る「脳」も深く関わっており、脳神経系の働きが乱れた場合にも、耳鳴りや難聴が起こります。健康な人でも静かな場所にいると耳鳴りのような音を感じることがあります。普段、脳はそれを無視していますが、脳の調節機能が低下したりすると、音に過敏となり「キーン」「ザーッ」といった耳鳴りが生じます。脳の調節機能が低下する原因の多くは難聴によるもので、難聴になると、聞こえにくくなった音をなんとか聞き取ろうとして脳が音への感度を上げます。そのため音に対して脳が過敏に反応してしまい、耳鳴りが聞こえるようになります。難聴が耳鳴りの最も多い原因ですが、外耳・中耳・内耳などの病気でも耳鳴りは起こります。
一方、脳が原因で生じる耳鳴りもあります。
それは、聴神経腫瘍・硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)です。
聴神経から発生する脳腫瘍です。
そのため初期症状で多いのは難聴・耳鳴りです。
大きくなると近くを走行する顔面神経を圧迫するので顔面麻痺やしびれを生じます。
さらに大きくなるとめまい、歩行障害、嚥下障害などを起こすこともあります。
脳は硬膜という膜に覆われています。
硬膜上にも動脈と静脈があります。通常動脈は毛細血管を介して静脈へ流れ出ますが、硬膜動静脈廔は、硬膜上の動脈が直接静脈と交通してしまい、圧の高い動脈血が圧の低い静脈に注ぎ込んでしまう病気です。この時に心臓の拍動に一致する耳鳴りを感じることがあります。
脳の静脈へ動脈血が逆流してしまうと、脳出血を発症することがあります。
日本では年間に人口10万人あたり0.3人しか発症しない珍しい病気ですが、心臓の拍動と一致する耳鳴りを感じたら考えなければならない病気の一つです。
脳以外に耳鳴りの原因は多岐にわたります。
脳腫瘍・脳血管の異常・脳出血や脳梗塞から耳鳴りが生じることがありますので、耳鳴りを感じたらMRIを撮影することをお勧めします。