「記憶の分類と、認知症がある方の活用法」 |鎌倉脳神経MRIクリニック|鎌倉の脳神経外科・MRI検査・頭痛外来

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医療コラム

「記憶の分類と、認知症がある方の活用法」 |鎌倉脳神経MRIクリニック|鎌倉の脳神経外科・MRI検査・頭痛外来

「記憶の分類と、認知症がある方の活用法」 

「記憶の分類と、認知症がある方の活用法」 

今日は記憶についてお話します。

 

「30年以上前の事を覚えているのに、どうしてさっき食べた事を忘れているの?」

 

記憶に関して不思議に思う事はありませんか?

 

記憶には、沢山の分類や種類があり、実は認知症になっても影響を受けにくい記憶もあります。

 

まずは記憶の2つの分類についてご紹介します。

時間による分類
・即時記憶数秒~1分程度 直後に再生される 

例)電話番号を復唱する、質問に直後に答える

 

・近時記憶数分・数時間~数ヶ月 その間別の刺激が入る。一般的には『短期記憶』

例)今朝食べた物を昼に思い出す

・遠隔記憶数年~数十年前
例)学生時代の出来事を大人になって思い出す

例えば、アルツハイマー型認知症の場合、2の近時記憶が低下しやすく13は比較的長く保たれます。

みなさん、昔の事は皆さん良く覚えていらっしゃいますよね。

内容による分類
・エピソード記憶  例)昨日遊びに行った等の出来事

・意味記憶 例)地球は丸い等の知識

・手続き記憶  例)楽器演奏等の身体で覚える技能

アルツハイマー型認知症の場合、1のエピソード記憶が低下しやすく23は比較的長く保たれます。
この様に、記憶の中で低下しやすいものと保たれるものがある理由は、脳の主な保存場所が異なる為です。

アルツハイマー型認知症で、低下しやすい近時記憶、エピソード記憶は『海馬(かいば)』という場所が関与しますが、海馬はとても繊細。

酸素不足で脳がダメージを受ける時も最初に影響を受けると言われていますし、感情との関連も強くストレスには脆弱で高性能かつ繊細な精密機械の様です。

海馬の働きを維持したいですが、精密機械ゆえ年齢により避けられない低下もあります。

 

認知症の人における記憶の活用ポイント4つ

では、次に認知症のある方が日常生活で、今ある記憶を生活に活かす為の4つのポイントについて説明します。

①「慣れている事」を優先遠隔記憶、手続き記憶の活用により出来る事を維持

例)今の携帯電話が使えているなら、高齢者向けの「らくらくフォン」に無理に変えなくても良い

②物の置き場所を決め自宅内の動線を決める手続き記憶の活用による紛失防止

例)玄関の目立つところに鍵置き場、バッグ置き場などを決める

③スケジュールを作り反復手続き記憶の活用による習慣の維持

例)起床洗濯朝食散歩洗濯物を干す等、パターンを変えない

④趣味を大事にする手続き記憶に関連する趣味をやめない 活動を通して仲間がいる事も強み
例)ピアノ演奏、社交ダンス等

このような工夫が挙げられます。

 

私達が日ごろクリニックでお会いする患者さん達も、認知機能検査の点数が似ていても生活のご様子はお一人ずつ異なります。そして、物忘れはあっても生活の問題が少ない方は、上にあげたような記憶の活用が上手な方ともいえます。その様な方を『予備能力が高い方』といいます。

 

予備能力は若い時からの積み重ねとも言えますので、認知症が無い方にとっても勿論大切な考え方です。

良ければ参考にしてみてください。

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