【もの忘れだけじゃない!認知症ってどんな病気?】
- 2023年11月21日
- 認知症
タイプ別の症状を知って早期発見!早期介入!
あれ?おかしいなと思ったら早めに相談を。
〜前頭側頭型認知症編〜
今日は「4大認知症」のうちのひとつ「前頭側頭型認知症」についてのお話です。
※ちなみに…ここでいう「前頭側頭型認知症」とは「前頭側頭型変性症(FTLD)」のうちの1つで、臨床的分類では行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)」といいます。FTLDにはその他「意味性認知症(SD)」「進行性非流暢性失語症(PNFA)」があります。
知名度の高いアルツハイマー型認知症と比べると、ご存じの方は少ないかもしれません。この前頭側頭型認知症は発症年齢が50~60代と比較的若く、男女差はありません。
神経細胞の異常によって大脳の前頭葉・側頭葉が萎縮する病気です。画像診断は有効ですが画像のみでは診断はできず、本人をよく知っている人からの情報提供でわかることがあります。性格が自分本位になり「我が道を行く行動」と言われる「周囲への気配りができない、気の赴くままの行動」が目立つようになります。症状としては、進行性の異常行動と認知機能障害の両方、またはどちらかがあります。また記憶や視空間認知能力※1は保持されているにも関わらず、遂行機能障害※2が見られます。発症から3年以内の早期から見られる症状には、信号無視や行列に割り込む、順番を守らない、万引きなどの社会的に不適切な行動、葬式の際に笑い出すなど礼儀やマナーの欠如、周囲の目を気にせず衝動的で無分別や無頓着な行動を起こしてしまう「脱抑制」や、自発的に行動することが減り、自らの関心があること以外には興味を示さなくなる、無関心や無気力などがあります。
※1視空間認知能力
目から入った情報を脳で把握する能力のことで、ものの位置や向きを認識します。これが障害されると、図形を真似して描けなくなったり、手指の形の真似ができなくなったり、車をバックで駐車できなくなったりします。
※2遂行機能障害
計画を立てて物事を実行することができなくなることを言います。仕事や家事などの段取りがわからなくなってしまったり、できなくなってしまいます。
その他、前頭側頭型認知症の特徴的な症状として…
共感や感情移入の欠如
・他者の要求や感情に対する反応が欠如してしまう
・社会的な興味や他者との交流、人間的な温かさの低下や喪失
固執・常同性
・パチパチと手を叩くような単純な動作、意味のない動作を繰り返したり、同じ行動や言葉を繰り返す「常同行動」
・何か1つのことに固執したり、決まった時間に決まったことをするなど時刻表的な生活パターンになる
食習慣の変化
・食事のメニューにこだわったり、同じものを何個も食べたり、甘いものをたくさん食べるなど食習慣の変化がある
・過食、飲酒、喫煙行動の増加
などがあります。
この「前頭側頭型認知症」は自分が病気であるという自覚がないことも特徴です。そのためにご家族が、あれ?おかしいなと気づいても、ご本人を受診させることが難しいケースもあります。そして脱抑制や非社会的行動、常同行動、食行動の異常などの精神症状や行動障害などの症状は、その対応にご家族が困ってしまったり悩んでしまうことも多くあるかと思います。また、前述した通り、記憶障害(もの忘れ)が目立ちにくいため、認知症と気づかないことも多くあります。性格が変わってしまった、以前にはなかったような言動があるなど気になること、相談したいことなどありましたら、ぜひ当院へお越しください。
当院には認知症ケア専門士が在籍していますので、ご家族のみの相談も可能です。
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