30代で「もの忘れ」がひどい…大丈夫?受診の目安も
- 2026年8月20日
- もの忘れ外来
30代のもの忘れ、多くは異常ではない。でも見逃してはいけないものもある
30代でもの忘れを感じる方は多くいらっしゃいます。仕事の責任が増え、育児や家事も重なる年代です。覚えることが増えれば、記憶が追いつかなくなるのは自然なことといえます。
数字で見ても、過度に心配する必要はありません。
|
項目 |
数値 |
|
若年性認知症の有病率 |
10万人あたり50.9人 |
|
全国の推計人数 |
約3.57万人 |
|
症状に気づいた平均年齢 |
54.4歳 |
|
50歳未満での発症 |
全体の約3割 |
30代での発症は、確率としてはかなり低いことがわかります。
ただし、認知症以外にも、もの忘れを起こす病気はあります。
治療で改善が期待できる病気
- ・甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが不足する病気)
- ・ビタミンB12欠乏症
- ・慢性硬膜下血腫(脳の表面に血が溜まる状態)
- ・うつ状態などの心の不調
不安を抱えたままにしないことが大切です
「病気かもしれない」という心配そのものがストレスとなり、もの忘れを悪化させることがあります。検査で異常がないと分かるだけで、症状が軽くなる方もいらっしゃいます。
病的なもの忘れ?誰にでもある物忘れ?
もの忘れには、心配のいらないものと、病気が隠れているものがあります。見分ける手がかりは「思い出せない」のか「覚えていない」のかという点です。
|
比べる点 |
心配の少ないもの忘れ |
注意が必要なもの忘れ |
|
忘れ方 |
体験の一部を忘れる |
体験そのものを忘れる |
|
例 |
昼食のメニューを思い出せない |
昼食をとったこと自体を忘れる |
|
ヒント |
言われれば思い出せる |
言われても思い出せない |
|
自覚 |
忘れたことを自覚している |
自覚が乏しい |
|
生活への影響 |
支障はない |
仕事や家事に支障が出る |
こんな症状が重なるときは注意してください
- ・日付や場所がわからなくなる
- ・物事を順序立てて進められない
- ・言葉が出にくくなる
- ・同じことを何度も尋ねる
多くは心配のいらないもの忘れ
30代でのもの忘れは、名前が出てこない、置き場所を忘れるといった内容がほとんどです。この場合は、記憶を思い出す働きが一時的に鈍っているだけと考えられます。判断に迷うときは、ご自身だけで抱え込まず、ご相談ください。
30代のもの忘れの主な原因
30代のもの忘れには、いくつかの背景が考えられます。多くは脳の病気ではなく、生活や体の状態が関係しています。
|
原因の種類 |
具体的な内容 |
|
生活習慣 |
睡眠不足、過度の飲酒、運動不足、栄養の偏り |
|
脳の使い方 |
同時に複数の作業を進める、スマートフォンの長時間使用 |
|
体の病気 |
甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、貧血 |
|
脳の病気 |
慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、てんかん、脳腫瘍 |
|
心の不調 |
うつ状態、強い不安 |
特に多いのは睡眠の問題

記憶は眠っている間に整理され、定着します。睡眠が不足すると、この働きがうまくいかなくなります。慢性的な睡眠不足は、眠気や意欲の低下だけでなく、記憶力の減退を引き起こすことが知られています。
30代は仕事や育児で睡眠時間が削られやすい年代です。もの忘れが増えた時期と、睡眠が乱れた時期が重なっていないかを確認しましょう。
生活習慣が原因であれば、整えることで改善が期待できます。一方、体や脳の病気が隠れている場合は、検査で確かめる必要があります。
もの忘れは心の不調のサインであることがある
30代のもの忘れで、特に注意して診ているのが心の不調です。うつ状態になると、集中力や判断力、記憶力が低下し、認知症とよく似た状態になることがあります。これは「仮性認知症」と呼ばれ、認知症とは区別して考える必要があります。
|
比べる点 |
仮性認知症(うつ状態) |
認知症 |
|
始まり方 |
比較的急に始まる |
月から年の単位でゆっくり進む |
|
本人の自覚 |
強く気にして訴える |
自覚が乏しい |
|
質問への反応 |
答えようとしない |
取り繕って答えようとする |
|
伴う症状 |
気分の落ち込み、不眠、自責感 |
見当識(日時や季節などがわからない)の障害など |
こんなサインがあれば心の不調を疑います
- ・気分の落ち込みや興味の低下が2週間以上続く
- ・寝つけない、朝早く目が覚める
- ・食欲が落ちた、または増えた
- ・以前は苦にならなかった作業が億劫に感じる
治療で回復が期待できます
仮性認知症はうつ状態が原因のため、その治療によって記憶力の改善が期待できます。「気の持ちよう」で片づけず、一度ご相談ください。
自分でできる改善法
日常の工夫だけで、もの忘れが軽くなる方は多くいらっしゃいます。まずは次の点から見直してみてください。
|
見直す点 |
具体的な方法 |
|
睡眠 |
就寝と起床の時間を一定にする |
|
記憶の負担 |
予定や持ち物はメモやスマートフォンに任せる |
|
作業のしかた |
同時進行を避け、ひとつずつ片づける |
|
運動 |
週に数回、軽く汗ばむ程度の運動を取り入れる |
|
食事 |
魚、野菜、大豆製品などをバランスよくとる |
|
飲酒 |
適量にとどめ、休肝日をつくる |
|
持病 |
高血圧、糖尿病、脂質異常症は放置せず治療する |
運動の推奨
世界保健機関のガイドラインでは、認知機能の低下を防ぐ方法として、運動が最も強く推奨されています。禁煙、高血圧や糖尿病の管理も同様です。30代から始める意味は十分にあります。
変化がないときは相談を
生活習慣が原因であれば、多くは数週間から数か月で改善を感じられます。工夫しても変わらない場合は、別の要因が隠れている可能性があります。
病院に行く目安|何科を受診する?
次のような場合は、一度受診をご検討ください。
受診をおすすめする状況
- ・体験そのものを忘れることが増えてきた
- ・同じ質問を繰り返すと周囲から指摘された
- ・仕事のミスが明らかに増え、業務に支障が出ている
- ・道に迷う、日付や曜日がわからなくなる
- ・言葉が出にくい、手足のしびれや動かしにくさを伴う
- ・頭を打った後から症状が出始めた
- ・気分の落ち込みや不眠が2週間以上続いている
何科を受診すればよいですか
|
状況 |
受診先 |
|
もの忘れが気になる |
脳神経外科、脳神経内科、もの忘れ外来 |
|
頭部外傷の後の症状 |
脳神経外科 |
|
気分の落ち込みが中心 |
精神科、心療内科 |
まずは脳神経外科や脳神経内科で、脳の画像検査と血液検査を行い、原因となる病気の有無を調べます。心の不調が主な原因と考えられる場合は、適切な診療科をご紹介します。
早めの受診を
原因がわかれば対処ができますし、異常がなければ安心して日常に戻れます。どちらの結果でも、受診をする意味があります。
鎌倉脳神経MRIクリニックについて
30代のもの忘れでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
クリニックの特徴
- ・脳神経専門のクリニック
- ・MRI・CT検査を当日実施
- ・検査当日に結果をご説明
- ・頭痛・めまい・しびれ・もの忘れに対応
「結果が出るまで不安」という方にも、安心してご受診いただけます。
こんな方にお勧めです
- ・もの忘れが増えて不安を感じている
- ・仕事のミスが目立つようになってきた
- ・一度きちんと脳を調べてみたい
- ・もの忘れの原因をはっきりさせたい
「年齢のせいだから」と放置せず、気になる症状がある方はご相談ください。
よくあるご質問
Q.受診にはどのくらい時間がかかりますか?
A.混雑状況にもよりますが、検査を含めて1時間から2時間程度をほどです。お時間に余裕をもってお越しいただくと安心です。
Q.家族に付き添ってもらったほうがよいですか?
A.一緒に来院いただけると助かります。ご本人が気づきにくい変化を、ご家族が把握されていることが少なくありません。難しい場合は、おひとりでの受診でも問題ありません。
Q.MRI検査を受けられない場合はありますか?
A.心臓ペースメーカーを使用されている方など、検査を受けられない場合があります。体内に金属が入っている方は、受付時にお知らせください。
Q.受診前に準備しておくとよいことはありますか?
A.いつ頃から症状が出たか、どのような場面で困ったかをメモしておくと診察がスムーズです。服用中のお薬がある方は、お薬手帳をお持ちください。